イカやタコの体表面は色素胞と呼ばれる小器官に覆われており、彼らは色素胞を自在に操ることで高速な体色変化を実現している。
アメリカの神経科学実験キットを制作、販売しているBackyard Brains社はこの性質を利用して、音楽を電気刺激に利用することでイカの体表面を用いたオーディオビジュアライゼーションのデモンストレーションをネット上で公開している。しかしイカの色素胞は全ての音に反応するわけではなく、低い周波数かつ実効値の高い音に反応しやすいことが九大伊藤研の調査で判明した。横川は研究室の先輩であるムタさんの協力のもとイカの色素胞の特性に合わせた音楽でイカの色素胞を刺激することで、よりビジュアルとサウンドの一体感を高めた映像作品を制作した。
この「イカディスプレイ」は、いわゆるデジタルなディスプレイとは異なり、「鮮度」が要求されるため、特定の場所と時間にしか存在しないサイトスペシフィックな映像装置である。進化の過程で生まれた海中のピクセルを通じて映像を物質から問い直すことがこのプロジェクトの目的である。
videos
Live performance at 404 festival
Chromatophony(ver. 2019)
publication
- Juppo Yokokawa, Haruki Muta, Ryo Adachi, Hiroshi Ito, Kazuhiro Jo, “A Pixel-Free Display Using Squid’s Chromatophores” Art Machines: International Symposium on Computational Media Art Proceedings. School of Creative Media City University of Hong Kong, pp118‒119, Jan. 2019
- 横川十帆,城一裕,“イカの色素胞を用いたピクセルフリーなディスプレイの提案”,第38回 JSSA 先端芸術音楽創作学会 会報 Vol.11 No.1 pp.1‒4, Mar. 2019
- Juppo Yokokawa, Kazuhiro Jo, “An Alternative Display Using Squid’s Chromatophores”, Art in the Anthropocene, Dublin. June 2019
- 横川十帆,城一裕,“ケンサキイカの色素胞を用いた音の可視化手法の提案”,情報処理学会 第 123 回音 楽情報科学・第 127 回音声言語情報処理合同研究発表会,京都,2019/6